一昔前の木造家屋は、すき間風があり、ストーブをガンガン焚いても、なぜか床下からピューっと寒い風がどこからかきて、温かく感じない家が多かったですよね。
建築業界では常識のメカニズムですが、一般の方々は意外と知れていないと思い、設計の専門的な視点でわかりやすく説明いたします。
まず、日本の住宅政策の断熱性能の歴史について表を付しておきましたのでご覧ください。断熱政策の大きな転換点は主に1980年省エネ基準、1992年新省エネ基準、1999年次世代省エネ基準です。
注目点は断熱材の厚みに注目しがちですが、実は気流止めの重要性が取りざたされたのが1990年からです。その事については、図を見てもらうとわかると思います。
左の図は断熱材が薄く、気流が流れやすい状態です。壁体内に気流が入り壁体内結露も起きやすい状況です。変わって右の図は気流止めが施してあり、壁体内に気流が入りづらい構造です。
壁体内結露がおこりますと、そこがカビの温床になります。カビの発生のメカニズムはこういう事だったのです。
よって、すき間風とカビの発生する住宅を防止するには、高温高湿側の防湿気密、低温乾燥側には湿気を放湿する構造にするのが、すき間風が無く温度むらの無い室内環境を保つためのポイントとなります。
逆を言うと、どんなに断熱材を厚くしても気流が入るような構造では、意味がないという事になります。
ここの所を理解せずに現場施工を行いますと表面が最初はきれいにリフォームされていても時間が経過すると、カビだらけの環境に逆戻りという事になります。
こういった見えない所に気を使う設計事務所なり施工業者を選びたいですね。