国土の2割が不明土地である事実

国土交通省が2016年度に地籍調査を行った558市町村の約62万筆に対する土地所有者の調査結果を集計したところ、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できなかった土地が20.1%であることがわかったそうです。さらに住民票や戸籍謄本などによる追跡調査を行ったが、それでも土地所有者の所在が不明だったのが約0.41%の土地が所在不明であったそうです。

「所有者不明土地問題研究会」による全国推計では驚くべき数値が公表されました。所有者不明率は約20.3%となり、土地面積の合計は九州の総面積を超える約410万haに相当するそうです。このまま対策を講じなければ2040年には、北海道本島の面積に迫る720万haに拡大するようです。

現在の制度では、われわれ宅建士の権利では、先方の不動産登記簿上の情報でしかその不動産の所在を確認するすべがありません。やはり戸籍謄本や住民票の閲覧ができないと踏み込んだ「空家や空き地」の所有者の特定ができず、不動産の利用を促進することがむずかしいです。

特殊法で利用の円滑化?

これらの問題を解決するため、国土交通省と法務省が検討を重ね、「所有者不明土地の利用の円滑化に関する特別措置法」の策定により、公共性のある事業には上限10年間の利用権を設定して利用できるようにしたそうです。

利用は公園や緑地、広場などから直売所、文化供用施設、仮説の田園、駐車場などを想定、都道府県が利用の公共性を確認後に一定期間広告し、市町村と相談の上、利用権を設定できるそうです。

この制度では、公共利用価値がないと、所有者不明土地の利用も進まないという事となるでしょう。民間利用の転換の仕組みが無いと、特に過疎の地方では、利用促進にはつながらないような気がします。

これから、制度の仕組みの改正が進みそうですので、もう少し踏みいった制度に期待いたします。